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日本共産党前橋市議会議員 長谷川薫  【年齢 70歳】 現在・6期・携帯・090-1534-5061・自宅~前橋市南橘町15-5・お困りごとや行政への要望などありましたら、お気軽にご連絡下さい。


by hasegawakaoru

生活保護バッシングに追随せず、保護申請権の尊重を!

市議会で質問

 これまでの12年間の私の議員活動の中で、最も多い相談が病気や失業による生活苦です。生活保護制度によって救済しなければならない場合がほとんどです。憲法25条にもとづく最後のセイフティーネットとしての生活保護制度を改悪する動きが強まってるだけに、最前線の前橋市の社会福祉行政の改善充実を求めました。

 市福祉部長の答弁は、「ケースワーカーの増員をめざす」「生保の申請権は尊重する」事務処置のミスをしないようチェック体制を強化する」など、改善充実の方向を表明しましたが、現実の業務はでは「水際作戦」で申請をすぐに受理しなかったり、ケースワーカーの多忙を解消して本来の役割の発揮を強めるなどの点で消極的など、まだまだ十分な運用とはなっていません。限られた時間での質問でしたので、こんごとも系統的に生活保護制度の本来の制度運用を求めてゆきたいと思いました。

質問内容は以下のとおりです。

【生活保護】についてです。

1、いま生活保護バッシングが強まっていますが、社会情勢を反映して本市も生活保護世帯が増え続けているだけに、ケースワーカーの体制強化は急務であります。
 6月1日現在、生保受給の2,756世帯を33人のケースワーカー受け持ち、一人当たりの保護世帯は相変わらず国の基準の80名を超えて、約84世帯となっています。保護世帯は10年前に比べると6割も増えているのに、増員は7人だけであります。
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 多忙を極めているケースワーカーの増員や、それを支える相談員や就労指導員を増員すべきです。また、犯罪捜査のプロである警察官OBではなく、生活保護などの社会保障制度を憲法25条が要請する国民の基本的人権・生存権として学び認識している専門家である社会福祉士などの採用を広げるべきだと思いますが当局の見解をお聞かせ下さい。

●生活保護実務を担当している職員の意識には、忙しさのあまり、制度を利用するための要件を広げすぎると、結果的に利用者がどんどん増えて事務量が増えるという不安があります。このような個々の職員の意識と職員を簡単には増やせないという市当局の意図が一致して、結果的に生活保護制度の厳しい運用となって、市民が生活保護制度の利用から締め出されるという事態が起きかねません。

●ケースワーカーは単にお金を給付するだけではなく、その人の生活力をとりもどすために親身に援助をすることが必要です。被保護者の話を良く聞いて、信頼関係を作らなければなりません。運転免許証の取得やヘルパー資格取得など就労のための援助も必要です。ゆとりを持って本来の役割を発揮できるよう、職員の増員を強く求めておきます。

2、つぎに生保受給者には全く落ち度がないのに、一年近く毎月数万円の保護費の過払いした事務処理上の誤りが相当件数発生しました。当局は分割返済を認めていますが、長期間、最低生活水準を削ることを強いられる受給者の負担は重大であります。
 そこでお聞きしますが、会計事務処理を担当ケースワーカー任せではなく、複数でチックする体制を強めるなどの改善が必要と思いますが、どのような対策を講じようとお考えか、また、このような誤りを防止するためにも、保護世帯に保護費が変化する時に随時発行している生活保護費の決定通知書を国保の医療費通知のような圧着ハガキで毎月発行にするとともに、その内容も収入認定金額を明示するなど、被保護世帯に分かりやすい様式に改善すべきだと思いますが見解をお聞かせ下さい。

●少なくとも悪意が全くない方から保護費の返還を求めるような事務手続きのミスを発生しないでいただきたいと思います。

3、次に最近、精神疾患で失業中の30代の息子さんと二人暮らしの膠原病の特定疾患の50代の母親が、社会福祉課に一人で生活保護を受けたいと窓口に相談に出向きましたが、申請を受理してもらえませんでした。
 最初の相談の数日後に私が同席して申請を受理してもらいましたが、そもそも生活に困窮していることの証明責任は、申請者の側にではなく福祉事務所の側にあり、要否判定のための調査をしっかり行なえば、申請の際に通帳や保険証などを持たずに臨んでも、申請意志が確認できれば申請を受理すべきです。病気による通院や体調不良の申告があれば、医師による要否意見書や検診命令を出して受理すべきです。いわゆる水際で申請を拒否してはなりません。
 いったんは生活保護の相談に行きながら、申請にいたらず孤独死や孤立死に至った大変気の毒な事態が北海道や埼玉、東京など全国で相次いで発生しており、生活保護行政の対応がもう少していねいに行われていれば防ぐことができたと指摘されています。
 本市においてもこのような悲劇が生まれないよう、本人の意思があれば最後のセーフティーネットである生活保護の申請を受け付けるよう十分留意すべきと思います。改善が必要だと思いますが見解をお聞かせ下さい。

●だれでも生活に困ったら生活保護を受けられるということをPRすべきです。生活保護の申請があれば、申請書を渡すべきです。いわゆる水際作戦は、申請書を渡さないことから始まります。申請書を渡したからといって、要件に該当しなければ却下すればよいのです。生活保護の申請をオープンにすべきです。

4、次に、扶助制度の基準が現状に合わない状況が生まれています。たとえば風呂の修理や設置費用です。上限は約11万8千円ですが、ガスがまと浴槽で20万円以上かかっています。出産扶助や入学準備金なども実態に合いません。また、施設入所などによる公営住宅の退去時のリフォーム費用も生活移送費や住宅維持費で見るべきです。
最低生活費を削る自己負担が発生しないよう、一時扶助などの基準額を実勢価格に合わせて引き上げるよう国に求めるべきです。見解をお聞かせ下さい。

●改善しなければ、最低生活費が保障されません。福祉の現場の声を直ちに厚労省にあげていただきたいと思います。

5、 最後に、民主党、自民党及び公明党の3党は、6月15日に社会保障と税一体改革について合意し「社会保障制度改革推進法案」を衆議院で可決しました。「自助(自己責任)」をことさらに強調し、「公助(国や自治体の責任)」は全く軽視する内容となっています。しかも「(社会保障)給付の重点化、制度運営の効率化」によって「負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現する」として社会保障費抑制の基本方針が示されています。
 生活保護制度についても、不正受給への厳格な対処、給付水準の適正化の名による保護費の減額、医療費の自己負担の導入、就労が困難でない者に対する有期の導入さらには扶養義務の強化による受給制限など、生活保護制度を利用せざるを得ない社会構造については目を向けないまま、制度利用者に対する厳格な対応のみが目立つ内容となっています。国に対して、貧困を自己責任にせず、社会的に解決すべき問題であるという立場で、生活保護制度改悪に反対すべきだと思いますが、見解をお聞かせ下さい。

●日本の生活保護の捕捉率は20%以下といわれています。生保の受給資格がありながら最低生活水準以下で暮らしている世帯が多数存在しています。制度を縮小するどころか、申請を狭めている実態の改善が必要です。しかも生活保護水準は、ナショナルミニマムとして他の福祉制度の基準となっています。住民税の非課税限度額や国保税の減免・就学援助・保育料などの制度はいずれも生活保護水準を基準にしています。
 したがって、生活保護水準を切れ下げるとそれに連動して他の多くの福祉水準も切り下げられることになります。最低賃金も連動して引き下げられます。生活保護は憲法25条が保障する基本的人権です。生存権を切り下げないよう福祉の現場の声を国にあげるよう強く求めて質問を終わります。

●生活保護利用者が210万人を突破する事態になったのは、財界主導の「構造改革」路線によって多くの人が職を失い、非正規雇用と低賃金の労働者が大量に生み出された結果です。人びとを貧困に突き落としておいて、その人たちが最低限生きられるように張られている「最後の安全網」をズタズタに切り裂くのは本末転倒であります。
 国は財界・大企業に雇用確保と賃金保障に責任を果たせと求めるべきです。憲法25条で明記された国民の生存権を保障する生活保護制度を充実させるとともに、貧困と格差拡大をなくすことが急務です。
by hasegawakaoru | 2012-07-12 20:33 | 市議会活動報告