前橋の農業を守るためにもTPP交渉からの即時撤退とコメ減反政策の維持を!
2013年 12月 11日
TPP交渉からの即時撤退を政府に求めよ!
前橋市の農家戸数は現在7652戸。そのうち自家消費だけではなく農畜産物を販売している農家は4803戸。農業者人口の65%が高齢者です。農家一戸あたりの農業所得は全国平均の95万円のおおよそ2倍の157万円です。
本市は、TPP(環太平洋経済連携協定)に日本が参加した場合は、アメリカなどの農畜産物が関税ゼロで大量に輸入されるため、舞えば市の農業に重大な影響が出て、現在の約390億円の年間の農業出荷額が56%・218億円まで減少すると試算しています。特に、麦類は13%、生乳19%、牛肉32%、豚肉は36%まで減少すると見込んでいます。
農業生産の落ち込みは、食品や輸送などの関連産業にも大きな影響を与え,雇用の悪化や地域経済全体の影響は罹り知れません。
11月9に開かれたJA前橋の『農業まつり』のあいさつで、大澤組合長は「重要5品目を例外にすることができなければ、TPP交渉から即時撤退すべき」と述べました。
市当局は「TPPに参加すれば、日本の農業を支援する何らかの制度が国によってつくられる。何もせずにTPP参加は考えられない」と答弁し、大企業・財界の農業を切り捨てようとする意図を全く想定しない答弁をしました。
前橋市のゆるキャラ「ころとん」どころではなくなる、深刻な養豚農家!
農水省の発表でも豚1頭当たりの生産コストは32,179円、販売価格は30,128円で、今も赤字経営が強いられています。
前橋市は、豚肉を麦豚・もち豚などとブランド化し、豚肉料理とあわせて、とんとんの町、イメージキャラクター「ころとん」を売る出しています。
TPPに参加すれば、養豚農家の7割が立ち行かなくなると農水省も全国の養豚業組合も想定しています。養豚農家の現状を同考えているのか。
市当局は「前橋の豚肉は上質なブランド化の努力を続けている。県の試算でも規模拡大による低コスト生産で十分対抗できる」と根拠のない答弁をしました。
国の無責任な農業所得倍増計画!
安倍内閣は、農業・農村の所得倍増計画を打ち出しています。農業委員会の見直しや廃止で、農業の大規模化や企業参入を促し、生産効率の悪い小規模な家族農業を切り捨てようとしています。
前橋市に合併した、旧勢多郡4町村は中山間地が多く、大規模化にも限界があります。いまは、小集落が協力し合って用水の管理や有害鳥獣対策に取り組んでいます。家族農業を切り捨てれば、山矢田畑が荒れて、有害鳥獣が町まで降りてくることも予想されます。農業が果たしている、地下水涵養や治水効果、地球温暖化防止などの多面的な役割が失われます。
日本農業再生の切り札として政府が推進しようとしている大規模化のための規制緩和は、実際に農業を支えている農業者の暮らしの実態や切実な要望が反映されていないのではないでしょうか。
市当局は、「農水省がめざす農業所得の倍増、農地や担い手の集積、国際競争力の強化などは重要な施策方向。前橋市も第6次総合計画で農地の集約や認定業者や農業生産法人の育成を行いの生産の効率化を主要施策とするとともに、意欲のある農業者の育成にも全力を上げている」と、家族農家の切り捨て政策に理解を示す答弁をしました。
コメ減反政策の中止方針の見直しを!
政府は11月26日、コメの生産調整(いわゆる減反)を5年後に廃止することを表明し、来年度から10アール当たり1万5千円の現在の減反交付金を7,500円に減額すると決定しました。
前橋市では、水田面積3810㌶のうち、生産調整や高齢のために耕作ができなくなるなどで、実際にコメの作付けが行われているのは2420㌶で、水田面積の63.5%にとどまっています。
現在、15,000円の直接支払い交付金(減反交付金)は、市内の2,870戸の農家に約2億6千万円が支払われています。この調整交付金が半額になれば、農業経営がいっそう困難になってしまいます。
今、コメづくり農家の4割を51の集落営農組織や認定農業者(法人)が担っています。
生産調整が廃止されれば、コメが過剰生産されて価格が暴落し、コメ作りをやめる農家が急増するのではないでしょうか。国は、コメに変わる飼料米の生産をすれば助成額を増やすと言っていますが、販路が十分確保されるかどうかは分かりません。
国民の主食であるコメの需給や価格安定に国が責任を持ち、コメの再生産を保障すべきと思います。したがって、市長は「生産者の意見を十分聞かないまま、生産調整政策を中止すべきではない、継続すべきと国に求めるべき」と思います。見解をお聞かせ下さい。
市当局は「国からの情報がなく新聞報道だけなのでよく分からないが、需要に応じたコメ生産や飼料米支援策の充実、さらには減反政策は5年間継続すると聞いている。国の動向を見守りたい」と述べました。
山本市長も、「国の農政がころころ変わると云うことでは農家が困惑することは同感。TPPに参加しても先進性の高い哲学の農業が大切。小規模でも大規模でも新しい価値を作り出す農業が重要」と答弁し、日本の食料主権を放棄し、農業をアメリカや財界の犠牲にするTPPも、コメの減反政策の中止にも理解を示しました。
日本共産党は、食料主権を守り抜くために全力を尽くします!
日本共産党は多くの農家や国民とともに力を合わせて、「TPPからの即時撤退とともに、主食のコメをはじめ安全な農畜産物は日本の大地から自給する食糧主権を守り抜くこと」を強く国に求めていきます。