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日本共産党前橋市議会議員 長谷川薫  【年齢 70歳】 現在・6期・携帯・090-1534-5061・自宅~前橋市南橘町15-5・お困りごとや行政への要望などありましたら、お気軽にご連絡下さい。


by hasegawakaoru

国が誘導する公共施設の統廃合や地方創生事業に安易に手を上げるな!

前橋市議会第2回定例会で質問

 2016年6月第2回定例議会総括質問(長谷川薫)

1、県都前橋創生プランと総合管理計画について
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①最初に、前橋創生プランと公共施設等総合管理計画について質問します。本市の総合管理計画には、国が求めたとおり、市内のすべての公共施設について、30年で大規模改修し60年で建替えることを前提にして更新費用の総額を推計しています。
 その結果、公共施設のうち建築物については、今後40年間で5,101億円かかり、毎年の維持管理費用は過去5年間の実績と比較して、2.1倍の127億円かかると推計しています。
この推計を市民に示せば、現状の公共施設を今後維持していくことが財政的に著しく困難だと受け止めるのではないでしょうか。
 私は、今後のまちづくりや住民への公共サービスの提供にも影響するだけに、維持管理費の試算はできる限り慎重に行わなければならないと思います。公共施設の約6割を占めている学校や市営住宅の大規模改修や建て替えなどは国庫補助事業対象となっています。償還期間を決めて市債も発行します。年度ごとにかかる更新費用は、事業費ベースではなく、維持管理にかかる市の一般財源を正確に示すべきではないでしょう。答弁を求めます。
  
【反論】
 本市の公共建物の維持管理に必要な市の一般財源は、管理計画で示した総事業費の数分の1程度ではないでしょうか。さらに平成25年度に本市が策定した公共施設白書には大規模改修を40年、建替えを80年に延命させると、更新費は過去5年間の1.2倍程度に削減できるとの試算もされています。一般財源と市債の償還額の年度ごとの負担見込み額をできるだけ正確に試算するとともに、最新の技術を駆使した長寿命化の努力などをきちんと示した上で再度試算して公表すべきです。

②次に地方創生と公共施設の管理計画との整合性について質問します。
 政府は、公共事業の再編を求めながら、アベノミクスの効果が地方に波及しないことに危機感をもって、いま「地方創生」の事業を強力に推進するという相反する政策を推進しています。
本市では、このような国のメニューに沿って、前橋版CCRC構想、北関東で最大規模の4カ所目の道の駅・LRT(低床式路面電車)などの事業を推進しています。
 面積や事業費の面で公共施設の総量を抑える、再編するという資産管理の基本方針を脇に置いて、国の誘導する計画に安易に手を上げているのではないでしょうか。政策選択をより慎重に行うために、現在は所管部門別で行っている計画策定や事業推進や公共施設の縦割り管理体制を改めて、全庁横断的に政策を調整する恒常的な組織体制を直ちに構築すべきです。見解を。

【反論】
 新たな道の駅や前橋版CCRC、そして膨大な費用がかかるLRT構想等は、全市民に共通する切実な要望にはなっていないのではないでしょうか。公共施設は増やさず総量を維持するという方針を掲げながら、建設後の維持管理にかかる財政問題も十分検討しないまま、国のメニューに手を上げて、コンサルタントに会社に事業を推進を前提とした調査を依頼する現状を改めて、今こそ冷静に政策の総合調整機能を持つ恒常的な庁内体制を確立すべきです。

③政府は「管理計画」にもとづく自治体の公共施設の解体撤去に対する交付税措置や地方債特例措置などの優遇制度をつくり公共施設の再編を進めています。本市も、ファシリティーマネージメントを今年から初めて3年後の2018年度には公共施設の存廃の方向性を具体的に決めようとしています。しかし、今必要なことは、公共施設の「設置目的」に立ち戻って行政と住民とが対等な立場で議論することが大事だと思います。少子高齢化社会の確実な到来を前にして、「それぞれの公共施設をどのように利活用すれば、コミュニティが活性化するか」などを住民参加で十分議論し、住民の納得のうえで方向性を決めることが大事だと思います。行政主導ではなく住民の意思を尊重して検討するための新たな協議組織を直ちに立ち上げるべきべきではないでしょうか。見解を。

【提言】
 これまでの本市の小中学校の統廃合は、各学校の地区委員会での協議によって統合方針が決められていますが、やはり教育委員会の適正規模ではないという指摘に住民が誘導された側面が強いと思います。子どものよりよい教育のためと説明すれば、教育予算の縮減という財政効率を重視した動機は住民には見えなくなるのではないでしょうか。総務常任委員会が先日視察した神奈川県秦野市では、義務教育学校の再編については大変慎重な対応をしています。学校は小規模になっても地域コミュニティーの中心的な施設となっているので統廃合せずに残して、老人施設などを学校に統合して複合施設にしています。本市も、教育効果が高いと確認している30人学級を目指しています。30人学級となれば現在の小規模校も適正規模になるという観点での検討は、地区委員会では協議の議題にもなっていないのではないでしょうか。学校も市営住宅などのも該当する地区住民対象の協議に限定せず、全市域のまちづくりの課題として市民参加で検討する協議組織を作るべきです。

2、 市役所周辺整備に係る基本方針について

 このほど発表された市役所周辺整備に係る基本方針は、「図書館は国の合同庁舎跡地に移転新築し、議会庁舎は現在の図書館の建物を生かして整備することを基本とする」となっています。市議会の特別委員会の提言を尊重した方針となっていることは理解できますが、今回の熊本地方の地震災害で宇土市など多くの行政庁舎が大きな被害を受けて、被災者支援や災害復旧のための拠点としての機能を発揮できなかったという事態を踏まえて、行政庁舎の機能強化・地震対策を急ぐべきという世論が強まっています。そこで基本方針の再検討を提案させていただきます。
 首都直下型の地震も近いかもしれないという状況を踏まえれば、建築後50年を経過し、耐震強度が著しく低い議会庁舎の建て替えをできる限り急ぐ必要があると考えております。最も早く建替えるとすれば、すでに更地になっている合同庁舎跡地に図書館と合築することを検討すべきではないでしょうか。現図書館は、大規模改修して市民や職員向けの憩いのスペースやレストランや喫茶店や市民ボランティア向けの事務室や本庁の行政事務スペース不足などを補う整備を提案します。基本構想の策定に着手する前に、官民共同で再度検討すべきと思います。見解を。

【提案】
 図書館や議会庁舎の建設は東京オリンピック以降となれば少なくとも5年後になります。図書館完成後に旧図書館を改修して議会棟建設となればさらに遅れることとなります。財政的にも、現図書館は大規模改修程度にして、議会棟と図書館を合築すれば財政的にも節約できて、建設も早めることができると思います。地震災害に備えて、再検討を求めておきます。
 
3、市有資産活用基本方針について

 前橋市資産活用基本方針が平成26年の5月に策定され、長寿命化の推進、保有総量の縮減、効率的利活用の推進が強調されています。2年が経過し、この間、総合運動公園の拡張、旧嶺小学校の減額貸し付けやローズタウン東地区の減額売却や旧前工跡地の貸し付けなどが具体化され、今後も、前橋駅北口の市有地の再開発や旧2中や中央小学校や天神小学校跡地の活用、日赤病院跡地活用などの検討が求められています。
 個別具体的な土地や建物の方向性を決定する対象資産が次々と出てきているだけに、判断基準をさらに明確にすることが必要だと思います。神奈川県の秦野市は原則として、①新規の公共施設は建設しない。建設する場合は、存続予定の公共施設の同面積あるいは同コスト分を減らす。②現在ある公共施設の更新は、できる限り機能を維持する方策を講じながら圧縮する。③義務教育・子育て支援・行政事務施設は最優先して維持し、優先度の低い施設は、統廃合の対象にして、跡地は賃貸、売却によって優先する施設整備のための財源に充てる。市街化区域内の土地は売却せず、社会福祉法人などに貸し出す。④現在の公共施設は一元的なマネジメントを行ない管理するなどです。
 本市においても、一般方針だけではなく、公共施設の新規整備や拡張の判断基準、さらには普通財産化した資産の売却もしくは貸し出しの判断基準、減額する場合の基準など、踏み込んだ方針を策定すべきだと考えますが、見解を。

【反論】
 不動産鑑定評価や市場取引価格の調査価格を大幅に下回る減額売却や貸し付けが増えてくると、行財政運営への市民の信頼が揺らぐ影響が出るのではないでしょうか。いま、税収納行政では、生活を脅かすほどの年間1万件の滞納整理が行われており、延滞金だけでも預貯金債権の差押えを行うなどの厳しい徴収を行っています。その一方で、旧嶺小跡地は月額賃貸借料を92万3千円を5万円に、ローズタウン東E地区は8億5700万円を3億7000万円に6割も減額売却する等、が続いております。もちろん、維持管理費の支出減や売却による固定資産税収入などがありますが、市民が納得できるわかりやすい資産活用方針をさらに類型化して要綱を具体化するよう求めておきます。

4、公共施設等の管理における民間活力の導入について

 共施設等の管理における民間活力の導入についてです。 この間、国に誘導されて本市が進めてきた市立保育園・水道事業・市営住宅管理・図書館窓口業務などの民営化、民間委託、指定管理者制度導入などのアウトソーシングによって、2010年には2,868人だった市の正規職員が2015年には2638人となり、5年間で230人も削減されました。いま、本市においても民営化先や委託先では、不安定な身分と低賃金などが原因で、専門性や継続性が保障されにくくなっています。特に民間保育園などでは、日常的に職員不足が深刻になっています。自治体事業の民営化は今後問題が広がり、市民サービスの低下を必ず招きます。
 総務省が民間委託や指定管理者制度の「モデル」として紹介している事例の中には、偽装請負で民間委託を一部直営に戻した足立区の戸籍事務、指定管理者が不適正な図書購入を行っていた佐賀県武雄市の市立図書館、委託業者が突然撤退して給食の提供が中止になった静岡県浜松市の学校給食調理業務など、重大な問題が発生しています。「トップランナー方式」や「行革」努力の基準需要額への反映は、地方交付税の目的・趣旨に違反し、地方自治に介入して「行革」を押し付け、公共サービスの低下を招くものです。国の言いなりにならず、アウトソーシングを進めないよう方針を転換すべきです。見解を。

【反論】
 そもそも行政が住民のために行う施策は憲法や地方自治法にもとづいて、住民の福祉の向上を目的に行われるものです。利益を追求するものではありません。民間委託やPF1など、営利企業の利潤追求のために公共の場を提供するのではなく、公共サービスを支える地方財政を拡充させるために、引き続き、住民とともに国に財源の保障を国に求めるべきです。市民の安心・安全のためにも職員の削減はやめて、アウトソーシングはこれ以上拡大しないように求めて質問を終わります。

 
by hasegawakaoru | 2016-06-23 17:00 | 市議会活動報告