安倍政権の「教育勅語」肯定の動き許すな!
2017年 04月 05日
安倍内閣が「教育勅語を教材としての使用を否定しない」と閣議決定
国有地の「格安」売却疑惑の渦中にある「森友学園」の幼稚園で園児に教育勅語を暗唱させていることが問題になっている中、稲田防衛相が「教育勅語の精神を取り戻すべきだ」などと称賛する答弁をしたことに批判が上がっています。
ところが、安倍内閣は3月31日、「教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」というこれまでの国会決議を無視した閣議決定をしました。
教育勅語は戦前の軍国主義的な教育の基本原理を示すものとして、1890年に明治天皇の言葉とし出されたものです。
「重大事態があればを天皇のため命投げ出せ」と教える軍国主義教育の柱
教育勅語は、前段に親孝行や兄弟仲よくなどの徳目が並んでいますが、本質は結論部分の「一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」つまり「重大事態があれば天皇のために命を投げ出せ」ということです。すべて天皇への忠義に結びつけられています。
戦前の教育では勅語の精神が徹底して子どもたちにたたき込まれました。元日や2月11日の「紀元節」などの儀式で校長が「奉読」し、その間はせき一つすることも許されませんでした。子どもたちは一字一句間違わないように暗唱させられ、「修身」などの授業も勅語に則して行われました。こうして天皇と国家への忠誠を植え付けられた若者たちは、自らの命をなげ捨てて、相手の命をも奪う侵略戦争に駆り立てられたのです。
憲法理念に反する教育勅語は、戦後、国会で排除を決議
敗戦後、戦争への痛苦の反省から、「個人の尊厳」を保障する憲法と「真理と平和を希求する人間の育成」を目指す旧教育基本法が制定されました。教育勅語は憲法の理念に反するとして1948年に衆議院で「排除決議」、参議院で「失効決議」が採択されました。
今回の教材として教育勅語を利用してよいという閣議決定は歴史逆行の誤りです。偏狭な『愛国心』を子どもたちに押し付ける『道徳の教科化』などとも表裏一体です。戦争法による『戦争する国づくり』につながる軍国主義教育の復活を許さない世論と運動が重要です。