熱中症の救急搬送が急増
日本列島の広い範囲で猛烈な暑さが続いています。前橋市も午前中から30度を越え最高気温35度以上の猛暑日が連続しています。熱中症とみられる症状で病院に救急搬送される人が市内でも続出し、すでに昨年の3・5倍の257名に達しています(4月1日~7月23日現在)。年齢別では、65歳以上が約100名、18歳から64歳が約90名、0歳から17歳までが約60名です。全国では、高齢者や子どもが亡くなる痛ましい事態も起きています。まさに市民は「命に関わる危険な暑さ」にさらされています。
気象庁などは、当面続く猛暑に厳重な警戒が必要として、無理な外出は控え、ためらわずに冷房を使用すること、水分や塩分のこまめな補給などを呼びかけています。前橋市も、命を守るため、さまざまな分野で知恵と工夫をこらし、万全の対策を講じることが重要です。
リスクが高い高齢者と子ども
とくに警戒が必要なのが高齢者と子どもです。高齢者は脱水になりやすく、体温調整機能も弱い特徴があり、周囲が注意することが大切です。エアコンを使っているか。体調はいつもと変わりがないか。1人暮らしの高齢者への対策を含め、地域や自治体が気を配り、支えていく努力が求められます。
愛知県豊田市で校外学習から戻った小学1年生が熱中症の中でも症状の重い熱射病で死亡したことは深刻です。猛暑の中での学校行事のあり方などを点検・見直すことが急務です。夏休みに入り、屋外・屋内を問わず、部活動の時間が普段より長くなる時期にあたります。高校野球などスポーツ大会への参加、応援活動なども増加するシーズンでもあります。「いままでもやったことだから」などと経験にとらわれ、従来型の発想にとどまるのは危険です。試合時間を気温が上がる前の午前中に移したり、応援活動を取りやめたりした大会も出ています。子どもの命と安全を最優先に、行事の延期や中止も含め、柔軟な措置がとれるよう、学校をはじめ関係機関・団体が適切に判断することが必要です。
学校体育館にエアコン設置を
文部科学省の調査(2017年4月)では公立小中学校の教室のエアコン設置率は全国平均で5割未満です。前橋市内の小中学校へのエアコン設置は共産党市議団と新日本婦人の会などが設置を求めて運動を繰り広げたこともあり、教室や図書室などについては完了しています。しかし、体育館にはまだほとんど設置されていません。夏休み明けの猛暑も想定されるもとで、体育館への設置を急ぐ緊急対策は待ったなしです。体育館は災害時の避難所にもなります。長期間の避難生活になった場合には、エアコンの設置は必要不可欠です。ただちに教育委員会に設置を求めます。
誰もが健康に暮らせるように
熱中症は、高温などの環境変化だけでなく、体調不良や、長時間の無理な作業などが重なり合って発症します。働き盛りの世代も軽視できません。疲労を蓄積せず、十分な睡眠、バランスのとれた食事が不可欠です。休みも取れない異常な長時間労働の横行する社会は大問題です。人間らしく働ける社会の実現は、健康に暮らせるようにするための大前提です。
日本共産党は、8時間働けば普通に暮らしせる社会や全国民に月額10万円以上の最低年金を保障すること、また、労働者の最低賃金をただちに時給1000円以上にするなどを政府に強く求めています。
生活保護世帯へのエアコン設置が制度化
厚生労働省は、今年の7月1日から、4月1日以降生活保護を開始した方や転居した方でエアコンがついていない場合、熱中症対策として、エアコン本体5万円までと設置費を家具什器費として扶助する制度を創設しました。自己負担なくエアコンを設置することができます。担当ケースワーカーに申し出てください。
また、すでに生活保護受給中の世帯でエアコンを設置していない場合は、市社会福祉協議会が設置費を含めて7~8万円を生活一次資金として貸し出しています。収入認定をされることも無く、設置後に毎月分割で返済します。家電店で見積もりをとり、通帳と実印と印鑑証明をそろえて社会福祉協議会に申請します。
低所得世帯にもエアコン設置の補助制度を!
生活保護受給していない低所得世帯の方へのエアコン設置にも支援が必要です。
福島県相馬市では、65歳以上の住民税非課税世帯を対象に、エアコンの購入費・設置費の合計金額の7割、上限3万5千円まで補助する制度を開始しました。命にもかかわる熱中症対策として、前橋市でも早期に実施すべきです。