デジタル化の前提となる「マイナンバーカードの市民カード化」も問題
前橋市は、人口減少・少子高齢化・中心市街地の衰退などの行政課題を抱えており、物価高騰が続く中で医療・介護の充実、行き届いた教育、中小企業や農業などの産業支援など住民福祉の増進を責務とする市政運営が切実に求められています。
ところが山本龍市長は行政のデジタル化を最優先課題に位置付けて、総務省の情報通信所管官僚の大野誠司を副市長に任命し、前橋工科大学の理事長に元アメリカのアップル社副社長・現在(株)日本通信社長の福田尚久氏を就任させて、住民からの要望を十分聞かないで行政のデジタル化や岸田首相が目玉政策として進めているデジタル田園都市国家構想に手をあげて、官民連携による様々なデジタルサービスによるまちづくりを強力に推進しています。
また市長は、国がデジタル社会の基盤と位置付けたマイナンバーカードの普及拡大にも全力をあげてきました。市民のマイナンバーカード保有率は75%になっており、すでにカードを取得していない多くの市民やスマフォを持たない市民が各種サービスから除外され行政の公平性を侵害する事態も起きています。全国で誤登録などのトラブルが続出しているにもかかわらず、健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化する国方針に追随しています。
このような中、市内の公道で市民を乗せて自動運転バスの実証実験を行い(下の写真)、高齢者等のタクシー運賃助成制度「マイタク」の利用をマイナンバーカード保有者に限定するなど、さながらデジタル庁が進める民間営利企業による最新デジタル施策の実験場自治体となっている状況です。

デジタル技術の活用は慎重に
前橋市議会では、ほとんどの会派・議員がこのような市民不在のデジタル優先の市政運営に追随している中で、4人の共産党市議団だけが、「デジタル技術を市民の生活利便性向上のために活用することを否定するものではないが、マイナンバーカードの取得押し付けや本来は市の責任で提供すべき行政サービスの多くを民間企業に丸投げすることは問題。個人情報保護が形骸化されており、市が保有する個人情報を匿名加工しても民間企業に提供することは認められない」、「人口知能AⅠやロボトなどを活用した行政の推進で、正規職員の削減や窓口サービスを後退させることは決してあってはならない」と指摘し続けています。