志位和夫日本共産党委員長の「参議院選挙で何を訴える」?
2013年 07月 06日
NHK―(志位氏が提示したフリップについて)もっとも訴えたいキーワードは「自民と対決、抜本的対案を示す」とお書きになりました。ひとことご説明をお願いします。
志位 安倍政権の政権運営に対して、多くの国民のみなさんが危機感や不安感を募らせていると思います。たとえばアベノミクスといいますが、暮らしはちっともよくならない。原発事故が収束もしていないのに、再稼働の話がでてくる。あるいは、憲法9条を変える動きが不安だと。たくさんの危機感や不安感が広がっていると思うんですね。
そういう状況を受けて、私たちは自民党政治と真正面から対決し、どんな問題も国民の立場で抜本的対案を示す。「自共対決」を訴えて、選挙戦で躍進を果たしたいと考えております。
アベノミクスは所得を奪う「毒矢」ばかり。所得増で景気回復の政策総動員こそ
―アベノミクスは、何が問題だとお考えでしょうか。

たとえば「成長戦略」と言いますけれども、中身は解雇の自由化、残業代ゼロの拡大、派遣労働 の野放図な拡大――国民の所得を奪う方向ばかりです。雇用のルール破壊で、日本の社会を「ブラ ック企業」のようにしてしまうという方向です。
消費税の税率を8%、10%へ大増税をはかる。その一方で大企業には「大胆な減税」。大企 業には減税をばらまいて庶民には大増税というのは、百八十度方向を間違えていると思います。い ま大事なことは、国民の所得を増やして景気回復をはかるための政策を総動員するというところに あると思います。
消費税に代わる財源はまず富裕層と大企業優遇の不公平税制をただす
―消費税率の引き上げを中止するとしていますが、財政再建や社会保障費の増大にはどのように対応するのでしょうか。
志位 私たちは、増税するのだったら、まず富裕層と大企業への不公平税制を正して、応分の負担 を求めるということが第一にやるべき課題だと思っております。
いま、たとえば富裕層に対する優遇税制があるために、所得税の税率が(年収)1億円のところ でピークになって、所得が多ければ多いほど下がっていくという不公平税制が生まれています。
それから大企業に対する研究開発減税などのいろいろな優遇措置のために、大企業の法人税の実質 負担率のほうが、中小企業より低いという不公平が生まれております。
こういう不公平を正して、まずは富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を行っていきた
いと思っております。
憲法改定への態度、戦争する国に変える9条改定、憲法を憲法でなくす96条改定にも反対
―次に憲法についておうかがいします。公約では全条項を厳格に守るというふうにされていると思いますが、いまの憲法に全く問題がないという立場でしょうか。
志位 いまの憲法の全条項を守り抜く、とりわけ平和的・民主的条項の完全実施をはかるというのが 私たちの立場です。
9条については、これを変える目的は「海外で戦争ができる国」につくり変えることです。たと えばイラク戦争、アフガン戦争、ああいう戦争が起こったときに、最前線にまで出て行って米軍と 一緒に戦闘行為ができる、そういう国につくり変えるということですから、断固反対です。
96条については、改憲のハードルを下げるという話です。けれども立憲主義というのは、主権 者である国民が憲法によって国家権力を縛るという考え方で成り立っているわけです。ですから憲 法改定の手続きも、ときの権力者が自分の都合のいいように憲法を変えることは難しくされてい る。世界で当たり前の流れです。
これを国会議員の過半数にして一般の法律並みにしてしまったら、憲法が憲法でなくなるわけで すから反対です。
党勢をどう拡大、日本共産党が伸びれば政治が変わることを訴える
志位 共産党が伸びたら政治が変わるということを大いに訴えたい。
安倍首相が「ねじれの解消が大争点だ」といったそうですが、私は一番ねじれているのは国民多 数の民意と自民党政治だと思います。
たとえば、国民の6割が反対している原発の再稼働、原発の輸出を強引に進めようとする。国民 の過半数が反対している9条改定や96条改定を強引に進めようといている。
このねじれこそ正すべきで、その力を持っているのが日本共産党です。そういう方向に国民の世 論の前向きの多数派をつくってきたのも日本共産党です。
ですから、日本共産党が伸びれば政治が必ず変わる、国民の声が生きる政治がつくれるということ を訴えたいと思っております。比例代表で650万票以上の投票を得て5議席、それから選挙区で も大いに風穴を開けていきたいと思っています。