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日本共産党前橋市議会議員 長谷川薫  【年齢 70歳】 現在・6期・携帯・090-1534-5061・自宅~前橋市南橘町15-5・お困りごとや行政への要望などありましたら、お気軽にご連絡下さい。


by hasegawakaoru

スポーツによる誘客を観光振興の中心にすえようとする前橋市政の危うさを告発

観光振興は自然・歴史・文化を大事にしながら農業や商業振興を基本に!


 前橋市は、来年度から新たに教育委員会所管のスポーツ行政と政策部にあった美術館や文学館などの文化行政と商工観光部にあった観光行政を統合し、文化スポーツ観光部を設置します。
 私たち日本共産党市議団はこの新しい部設置条例に反対しました。その理由は以下のとおりです。

 最大の観光資源である赤城山の魅力アップに本気で取り組むべき

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 前橋市は、市内の最大の観光資源である赤城山の魅力アップのための施策展開に十分成功していません。詩人萩原朔太郎を輩出し、水ととみどりと詩の町とキャッチフレーズを宣伝していますが、魅力あるまちづくりには成功していません。敷島公園のバラ園のリニューアルや中心市街地にアーツ前橋(市立美術館)を開館するなどの努力をしていますが、町並みは全国トップ水準の区画整理事業で魅力が喪失し、戦争遺跡でもあり戦後復興のシンボルであった昭和初期の百貨店様式の建造物・旧麻屋百貨店も解体するなど、他の都市のような観光スポット・観光資源が乏しい都市になってしまいました。

 私は、市議会で、とくに赤城山の大自然を生かした魅力アップ策を今後の観光振興の柱にすべきと繰り返し具体的に提起してきました。全国的にもトップレベルの農業生産出荷額こそ、観光にもっと生かすべきです。
 赤城山の自然を大いに生かした、観光資源の発掘と新たな創造が必要です。赤城山およびその山麓を中心とした地域に群馬県やJA(農家)とも連携し、できる限り首都圏の勤労者が訪れやすい公的な宿泊施設やレストランなどを整備し、豊かな農業や食材を生かした農産物や加工食品を販売し、おいしい食事を提供するなど、市外からの観光客が増える斬新な施策展開を行なうべきと主張してきました。何よりも安全で新鮮な農畜産物を生かした消費拡大に力を注ぐべきと考えます。芸術家なども集めて、地元産の手打ちそばなどの食とさまざまな芸術の魅力との合体で通年にわたって多くの観光客を集めている水上町のたくみの里の取り組みにも大いに学ぶべきです。

スポーツ観光への期待が過剰な設備投資になるのでは・・・

 私も、スポーツコミッションを立ち上げて、スポーツ資源の力を地域経済振興や観光振興に最大限活用しようという市長の前向きな思いを理解していないわけではありません。
 しかし、厳しい本市の財政状況や少子高齢化の進展、さらには市民意識の多様化の中で、本市の成長戦略としてスポーツ観光で十分な成果を上げられるとは考えられません。
 たとえ集客力のある各種競技大会を本市に誘致しても、スポーツ選手は宿泊や飲食は行ないますが、多くの場合に観光はせずに帰るのではないでしょうか。
 またスポーツ観戦者も首都圏から2時間程度の前橋市の立地条件では、日帰りが中心で、市内のホテルや旅館への宿泊へのシフトに多くを期待することはできません。元旦の実業団駅伝や赤城ヒルクライム大会(自転車競技)においても、選手やスポーツ観戦者が市内を巡り、消費を拡大するような新たな仕組みづくりをしなければ、地域経済振興への波及は期待できないのではないでしょうか。
 
 今、2020年の東京オリンピックの開催決定によって、首都圏の自治体はいっせいにスポーツ施設整備や交通アクセスの改善に力を入れようとしています。巨大なスポーツ施設と十分な宿泊施設を持ち、Jリーグの本拠地でもある「さいたま市」は、チャンス到来と受け止めて、独自のスポーツのまちづくりをいっそう推進しています。千葉市や横浜市なども同様であります。本市も、来年度から市内の市総合運動公園の約30億円を投ずる14,4㌶の拡張整備事業が計画されています。

 しかし、本市のように、スポーツ施設が市内中心部と周辺に散在し、交通アクセスが不便で、スポーツ振興への市民理解の熟度がまだそれほど高くない中、外国のオリンピック参加チームのキャンプ地としての誘致も簡単ではありません。スポーツと観光産業との協働の取り組みは、大変困難が予想されます。

 観光振興行政は、商業と農業を柱に組み立てるべき
 
 したがって、観光に係わる行政は、スポーツとの連携を中心とするのではなく、商業観光課がこれまでどおり所管し、農産物の直売や赤城の恵みのいっそうの拡大をになう農政部や今後さらに魅力アップを図らなければならないアーツ前橋などを所管する政策部、スポーツ施設を管理する公園管理事務所などといっそう連携を強めるべきであります。 また、旧麻屋百貨店の取り壊しのような誤りを繰り返さず、全国的にも有数の古代の古墳群も整備し、臨光閣やレンガ倉などの建造物も含め歴史的な文化遺産をしっかり保存活用すべきです。美術愛好家のリピーターが増えるよう、アーツ前橋のいっそうの充実策も必要であります。
 
 そして、スポーツ振興は、従来どおり教育委員会が担い、関係各課と連携し、学校スポーツの振興と競技力の向上、市民や子どもたちの日常的なスポーツ環境の整備と健康増進に結びつく草の根のスポーツ活動の振興、市民体育館の改修、総合運動公園など老朽施設の長寿命化を最大の施策方向とすべきです。
 そして、トップレベルのアスリートのパフォーマンスを直接観戦できる競技大会の誘致については、市民の要望にも十分耳を傾け、県や周辺自治体とも連携し、県有施設なども活用して、市民や市外から訪れるスポーツ観戦者に提供できるように努力することは必要であります。しかし、そのための新たな競技施設の建設整備は、建設費や維持管理費が長期間市財政を圧迫するだけに、拙速に行わず冷静な判断が求められます。

 なお、全国的にはスポーツ・文化に限らず先進的な行政施策を展開して、全国の地方議会議員の行政視察を受け入れて宿泊客を増やしている自治体も広がっています。自然エネルギーの先進的な取り組みをしている葛巻町などです。本市でも、たとえば、交通弱者対象の全市フルデマンド方式の交通を実現するなどの取り組みを早期に実現すれば全国のお手本となり、大きな集客効果が生まれるのではないでしょうか。

 以上の立場から、12月議会で市長が提案した文化スポーツ館後部の設置議案に反対し、文化振興・観光振興はこれまでどおり政策部と商業観光部が所管すべきであり、スポーツ行政との組織的な一体化はすべきではないと主張しました。
 
by hasegawakaoru | 2013-12-19 21:59 | 市議会活動報告