
高齢者のいのちを救う重要な支援策
4月18日に開かれた教育福祉常任委員会で、天川大島町の老人クラブが提出した「前橋市緊急通報システム制度」の充実を求める陳情書が審査されました。上の写真の通り、緊急のボタンを押せば、委託している民間警備会社が24時間対応し、救急対応や別に暮らす家族や近所の見守り協力者登録への連絡もしてくれます。利用料の負担はなく電話通信料だけの負担です。しかし前橋市の制度利用者は219世帯にとどまり、高崎市の2680世帯に比べて大変少なくなっています。老人会の陳情では「前橋市が制度の利用対象者を65歳以上で住民税非課税世帯と生活保護世帯に限定し、しかも心臓病などの持病を持ち健康状態が不安定で、地域包括支援センターの審査で必要と判断した場合に設置を認めるなどと、厳格に対象者を絞っています。もっと対象者を緩和して、孤独死などの不安を抱いている多くの高齢者に貸与する制度に改善充実してほしい」と要望しています。
高崎市は65歳以上の世帯すべてを対象とし、「緊急通報装置設の要望」に応えています!
同制度の昨年度の予算を比較すると、高崎市は2億6746万円、前橋市はわずか634万円です。高齢者の不安に応える高崎市の積極的な行政姿勢と比較して、前橋市はあまりにも冷たい貧弱な制度です。高崎市は、要介護認定をされていない高齢者でも、病気などで緊急に訪問介護が必要になったときには1時間当たり250円でヘルパーが即時に訪問したり、1泊2食・2000円で緊急宿泊もできる「介護SOSサービス」も実施しています。ほぼ同じ財政規模の前橋市に出来ないはずはありません。


「居住誘導区域・都市機能誘導区域」の設定は住民合意で
4月25日に前橋市都市計画審議会が開かれ、委員として私も出席しました。
都市計画部から「立地適正化計画」と「都市計画道路の見直し」が報告されました。
私は「これまでの街づくりは都市計画区域内を『市街化区域』と『市街化調整区域』に区分するだけであったが、国が自治体に策定を求めている立地適正化計画は、さらに『居住誘導区域』と『都市機能誘導区域』の設定である。人口が減少しても一定エリアの人口密度を維持し、生活サービスやコニュニティが持続的に確保されるようにするとともに、医療・福祉・商業などの都市機能を中心拠点や生活拠点に集約して、コンパクトな街づくりを進めることを目的にしている。郊外地域など誘導区域に含まれない区域では、今後住民の暮らしに不便が生まれ、いっそう過疎化が進む恐れがある。今後、住民の安全・安心をどのように確保するのか」と質問しました。
当局は「時間をかけて効率的な街づくりを進めるものであり、誘導区域外の市民の暮らしも大事にする」と答えました。私は「計画策定の前に、各町内会単位で立地計画の説明会を開催し、疑問に応え、区域設定の是非を含めた意見交流を丁寧に行うべき。住民合意なく区域設定をするべきでない」と強く指摘しました。
都市計画道路は全体の半分、77路線・169㌔を見直し対象に
市当局から「人口減少や財政がひっ迫する中で、費用対効果を踏まえ、都市計画道路148路線319㌔のうち77路線、169㌔を見直し対象路線をとし、今年度中に変更や廃止路線を決め、来年度以降都市計画変更手続きをする」という説明がありました。
私は「たとえば県庁群大線は、平成8年に事業決定し工事開始からすでに19年かかっている。改良率はまだ46%。臨江閣北の広瀬川にかかる石川橋の付け替え工事で、さらにあと3年かかる。3中通りまでの594㍍の整備に総額34億円の整備費がかかっている。今回見直し路線とされているが、群大病院までの残る1200㍍の計画道路を整備するためには、密集家屋の移転が必要となり、さらに長期間の工期と費用が求められる。廃止を検討されるのか」と質問しました。
当局は「見直し対象としたが、今後総合的に評価し、住民の意見も聴取して検討する」と答弁。私は「不要不急の道路建設をやめて、通学路の安全対策や生活道路の整備改修を急ぐべき。見直し対象路線を迅速に検討し、結論を先送りせず、廃止・変更の手続きを進めるべき」と求めました。
山本市長は昨年2月の市長選挙の時に、「市内各所に路面電車を走らせる」と明確に公約しました。ところが、1千万円の委託費をかけて民間事業者に経費を試算してもらったところ、JR前橋駅と上電前橋中央駅間のわずか900㍍で、約132億円もの事業費がかかると判明。長谷川議員の代表質問に市当局は「LRTは長期的視野で検討したい」と述べて、事業の具体化は断念し先送りしました。
党市議団は「旧勢多郡のデマンドバスやマイタクやマイバスを改善充実し、交通弱者支援をいっそう強めるべき」と主張しました。
福祉・暮らし応援の施策が少しだけ前進しました。

●障害児保育への市の上乗せ補助~保育園の障害児対応の職員を増やす際に補助金を増額
●フードバンク事業スタート~食品関連企業等から寄付された食料品を母子家庭など生活困窮者に配布
●高校を卒業し児童養護施設などを退所する人に賃貸住宅の初期費用など15万円の自立生活支援金を給付
●住民税非課税世帯の第二子の保育料を完全無料化(国が事業化)
●就学援助の入学準備金の引き上げ~小学校20,470円➡40,600円、中学校23,550円➡47,400円
●まちなか店舗リフォーム助成事業の拡充~中心市街地の夜間営業だけの店舗も対象に上限50万円を助成。全市の店舗への拡大は見送り。
一方で「市民の福祉施策」の後退も・・・

【昨年度まで】予算額8000万円
80、88、90、99歳➡1万円
100,101歳以上➡毎年5万円
【今年度から】予算額6045万円
80、88歳➡1万円
100歳➡10万円(1回だけ)
●スズメバチの駆除の自己負担を倍増
1500円➡3000円に
●針・灸・マッサージの助成減額
年間7枚の割引券
1枚1500円➡1000円に
副市長二人制度に党市議団は反対しました!
副市長の報酬は年間約1500万円、退職金は4年で1500万円。合計7500万円もかかります。公務の民間委託を進め正規職員を減らし続けながら、新年度から副市長を2人にしたことは問題です。他会派は賛成しました。

日赤跡地のCCRC構想
日赤病院が平成30年に朝倉町に移転します。市当局は、跡地に健康なうちから首都圏の高齢者に移り住んでもらい、医療や介護支援を受けながら活動的に暮らす終(つい)の住みかを民間事業者を公募して整備しようとしています。今年度予算に、跡地3㌶の購入費用として12億円を計上しました。
北関東最大規模の「道の駅」
さらに先日、全線開通した上武道路の沿線・関根町に北関東最大規模・7㌶・市内4カ所目の道の駅を、平成32年オープンをめざしています。現在、市は運営事業者を公募しています。

前橋駅北口再開発ビル
また前橋駅北口再開発事業は、分譲住宅を中心にサービス付き高齢者住宅・特別養護老人ホーム72床、公共スペース(約100坪)などが入る26階建ての県庁に次ぐ高層複合ビルを(株)大京が建設する事業です。
私は「いずれも、国が進める地方創生に沿った開発事業ですが、国の補助金交付を受けながら前橋市も多額の財政を投入します。ところが、市が推進しているにもかかわらず、事業者に求めている内容はいずれの事業も『事業目的と必ず整備してほしい施設名』を示す程度で、事業規模も内容もほとんどすべてが民間任せです。もとより運営事業者は営利企業なので、必ず利潤追求を最優先します。」と問題点を指摘しました。
事業が破綻すれば、後始末は「市民負担」に
さらに、「道の駅の場合、土地買収と建物整備費用は行政負担となるので、民間事業者が提案する事業計画も過大となりがちです。同様に前橋駅北口の再開発ビルも日赤跡地のCCRCも、住宅・施設入居者の需要予測が外れ過剰供給となれば事業が破綻し、その後始末として市財政の支援すなわち市民負担は免れません。事業計画が決して過大とならないよう、現段階で市民代表が参加する第3者協議機関を作り、くれぐれも慎重に検討を重ね、高齢化の進行と人口減少社会にふさわしい、身の丈に合った計画とすべきです」と市当局に強く求めています。

岡山県の倉敷市に隣接する総社市(人口6万6千人)では、新しい公共交通のモデルとして全国の自治体から注目された全市域デマンド交通が運行されています。
市民が希望する場所から目的地(停留所なし)へ距離に関係なく1人1乗車300円(小学生障害者や要介護・要支援者は200円・未就学者は無料)で送迎する事前予約型の乗合方式のデマンド交通「雪舟くん」(室町時代の同市出身の水墨画家の僧侶の名前が由来)が2011年(平成23年)4月1日から運行されています。8人ないし5人定員の車両9台で市内全域をカバーしています。運行は、委託を受けたバス・タクシー事業者が行っています。
市内事業者も利用拡大を支援
利用希望者は交通弱者に限定せず、事前登録すれば市民すべてが利用できるようになっています。利用者は徐々に増え、2013年(平成25年)6月には目標としていた「雪舟くん」一日平均利用者250人を突破しました。買い物や通院などの外出で、市民の身近な交通手段として定着しています。市内の商業施設や病院などの事業所は、バスの待合所の設置や予約の代行などで運行を支援しています。たとえば、おかやまコープは「雪舟くん」で来店した方が購入した商品を、その日のうちに自宅へ無料配送するサービスを開始しています。「雪舟くん」利用で来店の方に月に1回、お買い物券(100円×3)を進呈しています。デマンド交通の運行に合わせて、市民合意で路線バスの昼間の本数を減らしたり、巡回バスの一部廃止などが行われましたが、前橋市のようなタクシー料金助成制度にはしていません。大いに学ぶべきです。

南橘や芳賀地区など交通不便地域にマイバスの増設を!
3月議会で共産党市議団は高齢者などの交通弱者支援の公共交通の充実を求めました。
現在、前橋駅を起点に東西南北の4路線で運行されている循環バスは、距離に関係なく大人100円、子ども50円、身障者などは半額・一日乗車券は310円で運行されています。
私は「交通不便地域を運行しているマイバスを南橘地区や芳賀地区などにも増設してほしいという住民要求に答えるべき」と求めました。市当局は、今年度中に策定する地域交通網形成計画を策定する中で検討したい」と答弁し、具体化を先送りしています。
マイタクは利用距離に関係なく「低額固定料金」に改善を!
運行を開始して1年が経過した移動困難者支援のタクシー運賃助成制度のマイタクは、近距離を利用する高齢者にはおおむね好評です。現在の制度は75歳以上の高齢者と65歳以上の運転免許証を持たない方や返上した方に、タクシー運賃の半額を支援します。ただし、支援額の上限は1回あたり千円までとされています。

市当局は、「あくまでもタクシー運賃助成制度であり、マイタクの均一料金は難しい」と答弁しています。
富士見地区の「るんるんバス」などは、自由乗降やドアツードアー方式などへの改善を!
私は「旧勢多郡のデマンドバスは、大人210円・中学生以下100円で誰でも利用できます。しかし停留所方式のため、足腰が弱い高齢者からは、手を上げれば止まってくれる自由乗降方式や自宅までの送迎するドアツードアー方式に改善すべきです。また、富士見地区の『るんるんバス』の運行を旧市内まで拡大し、日赤や群大病院などに通院できるよう改善すべきです。外出が拡がれば、高齢者が元気に暮らせて医療や介護の支出が抑制できます」と求めました。市当局は、「今後検討する」という答弁にとどまっています。

いまアメリカは北朝鮮の核開発を警戒し、原子力空母や潜水艦を朝鮮半島に待機させ、北朝鮮を先制攻撃も辞さないと脅かしている。戦争となれば、韓国だけではなく米軍基地のある日本も北朝鮮の核攻撃対象とされる。武力に武力で対抗することは破滅的事態につながる。今こそ、軍事的威嚇ではなく、日本政府は「すべての選択肢を準備している」と北朝鮮を威嚇しているトランプ大統領に対して、6か国協議の再開を促すなど、憲法9条を生かした平和的な対話の働きかけをすべきだ。

安倍内閣が「教育勅語を教材としての使用を否定しない」と閣議決定
国有地の「格安」売却疑惑の渦中にある「森友学園」の幼稚園で園児に教育勅語を暗唱させていることが問題になっている中、稲田防衛相が「教育勅語の精神を取り戻すべきだ」などと称賛する答弁をしたことに批判が上がっています。
ところが、安倍内閣は3月31日、「教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」というこれまでの国会決議を無視した閣議決定をしました。
教育勅語は戦前の軍国主義的な教育の基本原理を示すものとして、1890年に明治天皇の言葉とし出されたものです。
「重大事態があればを天皇のため命投げ出せ」と教える軍国主義教育の柱
教育勅語は、前段に親孝行や兄弟仲よくなどの徳目が並んでいますが、本質は結論部分の「一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」つまり「重大事態があれば天皇のために命を投げ出せ」ということです。すべて天皇への忠義に結びつけられています。
戦前の教育では勅語の精神が徹底して子どもたちにたたき込まれました。元日や2月11日の「紀元節」などの儀式で校長が「奉読」し、その間はせき一つすることも許されませんでした。子どもたちは一字一句間違わないように暗唱させられ、「修身」などの授業も勅語に則して行われました。こうして天皇と国家への忠誠を植え付けられた若者たちは、自らの命をなげ捨てて、相手の命をも奪う侵略戦争に駆り立てられたのです。
憲法理念に反する教育勅語は、戦後、国会で排除を決議
敗戦後、戦争への痛苦の反省から、「個人の尊厳」を保障する憲法と「真理と平和を希求する人間の育成」を目指す旧教育基本法が制定されました。教育勅語は憲法の理念に反するとして1948年に衆議院で「排除決議」、参議院で「失効決議」が採択されました。
今回の教材として教育勅語を利用してよいという閣議決定は歴史逆行の誤りです。偏狭な『愛国心』を子どもたちに押し付ける『道徳の教科化』などとも表裏一体です。戦争法による『戦争する国づくり』につながる軍国主義教育の復活を許さない世論と運動が重要です。